和更紗 江戸デザイン帳
熊谷博人 著 株式会社クレオ

「クマさんの和更紗草子」を当サイトに連載してくださっている熊谷博人さんに 初めてお目にかかったのは、2012年7月7日のこと。
それが、私たち横浜きものあそびにとって、
江戸文様や和更紗の世界への扉だった。
あれから、いろいろなことを教えていただき、様々なものを見せていただき、 門前の小僧としては、大変楽しい世界に遊ばせていただいている。

その熊谷博人さんが昨年12月に上梓された「和更紗 江戸デザイン帳」。
まだまだ「和更紗って何?」な人が多いなか、
和更紗の「なりたち」から技法、文様の解説も含めて、
誰でも分かるように説いてくれるのが、本書。
熊谷さんの著書には、大判の「和更紗文様図譜」もあるが、
残念ながら、すでに絶版となっている。
今回は、たくさんの人に気軽に読んで見てほしいという願いから
持って歩けるサイズのA5判となった。

田中敦子さんが本書の帯に書いていらっしゃるとおり、
「和更紗は江戸庶民のおしゃれ革命」だったのだろう。
色鮮やかな木綿というのは、それまでは考えられないことだったはず。
日本では、独自に型紙を使い顔料で摺り染めする技法が確立された。
ちなみに、今もその技法を守り、ベンガラ顔料を用いて
和更紗を染めているのが、中野史朗さんだ。

憧れのインド更紗文様の模倣から始まった柄は、
庶民の間に浸透していくにつれて、自由に、どこか緩やかに変化してゆく。
唐草の中にとらわれてしまったような唐子たち。
百獣の王とは思えぬ緩い(言い換えれば間抜けな)表情の獅子。
寿老人のような禿げ頭にはしごをかけて上る子供。
この世のどこにもないような不思議な植物が視界を埋め尽くし
しかもそれが、文様としてきちんと成り立つ巧みさ。
この不思議な文様の世界を、もっとたくさんの方に楽しんでいただきたい。
膨大な熊谷コレクションの中から厳選された、図版の美しさも見もの。
A5判の本ではよく分からないとおっしゃる向きには
本書にあるいくつかの和更紗が拡大画像で見られる
当サイトの「クマさんの和更紗草子」をお勧めします。


Wasarasa, Japanese sarasa born in the middle of Edo-era. Wasarasa is printed on cotton cloth. Before that, people wore simple colored clothes, for example solid indigo blue or some stripes. Gorgeous colored and patterned silk clothes ware only forgiven nobleman. People allowed to wear hemp or cotton. So, when Wasarasa came to people's life, they could wear rich color and pattern. Hiroto Kumagai is collector and specialist of Wasarasa. He shows us the beautiful world of Wasarasa, and people's life of Edo-era.

ヤタ



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